みことばの糧1253

『恵みを倍に増やそう』

マタイによる福音書25:14~19
 このたとえ話で主人が先の二人の僕を褒めた言葉が、「忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。」(マタイ25:21、23)でした。
 ここで言われている「タラントン」とは、文字通りのお金のことではありません。しかし、5タラントンや2タラントンをすら「少しのもの」と言うこの主人は一体何者だろうか、どれほどの大金持ちなのだろうか、と思わされることも事実です。「タラントン」とは6000日分の賃金に当たり、およそ20年分です。決して少ない額ではありません。
 それに対して「多くのものを管理させよう」と言われています。ここで言われている「多くのもの」とは何でしょうか? 彼らが儲けて得た、2倍となったタラントンでしょうか? 5タラントンをすら「少しのもの」と言う主人が、それが倍になった程度で「多くのもの」と言うとは思えません。
 やはりこれは、彼らに与えられたタラントンとは全く別のものを指しているでしょう。それは何かと言えば、「真の命、永遠の生命」でしょう。永遠の命の恵みと比べるならば、地上の財産はどれだけたくさんあったとしても「少しのもの」です。そのようにして地上の財産と、天上で約束をされている財産とが、「少しのもの…多くのもの」として対比されているのです。
 けれどもここで主人が語ったのは、「お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。」という言葉でした。主イエスを信じた者に対して全く無償で与えられるのが「真の命、永遠の生命」です。それは他では得ることのできない多くの財産、真の財産です。
 この地上の事柄は、神さまから見れば小さきものです。しかし、その小さな地上の事柄をおろそかにするのは、神さまの御心に叶うことではありません。私たちに託されている働きは小さなものであるかもしれませんが、そこにも神さまの最善が働き、神さまの栄光を現すことができるよう、業に努めて参りたいと思います。
 神さまは私たちひとりひとりに、違ったタラントンを与えてくださっています。そのタラントンに気付くのも用いるにも、一歩踏み出す挑戦が必要となります。与えられたタラントンを用いて歩みましょう。もし用いることをしないなら、それは失われてしまいます。ちゃんと用いるならばさらに豊かに増やされます。神さまが与えてくださったタラントンに気付き、それを用いて歩みましょう。
ハレルヤ!

片平貴宣牧師