みことばの糧1274

『時を良く用いなさい』

エフェソの信徒への手紙5:15~17
 
今日のみ言葉の中の5章16節には、「時をよく用いなさい。今は悪い時代なのです。」と記されています。でも、「悪い時代なのに、時をよく用いる」というのは、かなり難しいことですね。
 ある神学者は、「悪い時代だからこそ、好機が潜んでいるのだから、それを見逃すな」という勧めだと解釈しています。そして別の神学者はもっと大胆に、「悪い時代ほど、たくさんの好機を見つけることが出来るのだから、しっかりとそれを見つけろ」と解釈するのです。興味深いですね。どうしてそんな理解が生まれるのでしょう。
 それを考えていた時、心理学でフレーミング(framing)という理論があるのを知りました。考え方の枠組みを変えると、一つの事実や事象が全く違って見えてくるという理論です。それをここで当てはめると、悪い時代という一つの事実も、それを理解するための枠組みを変えれば、それまでとは全く違ったものに見えてくるということです。
 先述した二人は、「悪い時代」というそのものに囚われるのではなく、それに対して神がどのように関わっておられるのかを考えているのだと思います。この世界の本当の支配者は神。その神は、この「悪い時代」の中で私達が苦しんでいることもその愛の中でよくご存じのはずです。
それに対して手をお出しになれないのでも、冷たくご覧になっているのでもなく、それをお与えになったとは思いませんが、少なくともそれを用いて私達の益になることを考えて下さるということです。だからこの時代の中にも好機を隠しておかれたり、それもたくさん与えて下さったりするのだと、理解しているのです。だとしたら、それを生かす意味でも、「時の用い方(一瞬一瞬をどう生きるか)」を考えていくのが私達の責任です。そのような生き方を主は喜び、しっかりと支え、共に歩んで下さるのだと思います。だから希望の中を歩みましょう。主が共にいて下さるのですから。

古谷正仁牧師(蒔田教会)