みことばの糧1218

『執り為しの祈りの力』

出エジプト記32:11~14
主はエジプトの地で奴隷となってしまったイスラエルの民を深く憐れみ、モーセを立てて解放し、「約束の地」に帰ることができるように導かれました。
しかし、その旅程において荒野に踏み込むと民は不平不満を漏らし、モーセに逆らいました。それでも主は、甘い水、マナと鶉を与え、さらに主の御心が刻まれた聖なる十戒を与えてくださいました。
しかし、その十戒が授けられようとしていたその最中に、ホレブ山の麓において「金の仔牛像」を鋳て、偶像崇拝を始めてしまったのでした。
十戒の第一戒、「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない」が無残にも破られていたのです。主は、余りにも酷い背信に、イスラエルの民を滅ぼすことを宣せられました。
しかし、モーセは、「『アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)を通して、イスラエルの民を祝福する』と宣せられた主の御心によって思い直してくださるように」執り為したのです。
かつては、エジプトの王子から転落し、自分一人の生き方さえどうすることもできずにミディアンの地に逃亡したモーセが、「主がわたしと共にいてくださる」との信仰に生きるようになって、何百万人という民の命を救う者となったのです。
星野富弘さんという一人の芸術家がいました。群馬県の中学の体育教師でありましたが、1970年、模範演技中にバランスを崩し、激しく頸椎を損傷、首から下が完全麻痺の状態となりました。若き日のあだ名はヘラクレス。スポーツ万能であったのが寝たきりの日々になり2年-。身の回りのすべてを自分でできなくなってしまい、自分の存在は周囲の迷惑であり、無駄な存在にしか思えず死を考えていたところ、クリスチャンの先輩が見舞いに訪ねて来て聖書を渡してくれて、祈ってくれました。
聖書の言葉が星野さんの心に注ぎ込まれ、生きているのではなく、生かされていると感じ、口で“筆を握り”、絵を描き始めるようになりました。以後、今年の4月に天に召されるまで数多くの美しい詩画を生み続けました。それらの作品は多くの人の心に生かされている感謝、生きる勇気、そして愛を与えるものとなりました。「主がわたしと共におられる」信仰は、自らを生かし、そして、多くの人を生かす愛に満ちた力となっていくのです。 ハレルヤ!

中島 聡牧師

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