みことばの糧1241

『全権を主に委ねる信仰』

サムエル記上15:24~31
 サムエルは神様の選びに従ってサウルに油を注ぎ、イスラエルに王が誕生しました(同上10:1)。サウルはサムエルの預言に聞き従い、神様の祝福を受け、長子にして忠臣ヨナタン、勇士ダビデにも恵まれ、イスラエルを統治することができました。
 しかし、戦いに明け暮れる中で、やがてサウルは兵士たちの声に耳を傾けるようになってしまいました。
 因縁のペリシテとの戦いに臨んだ時、イスラエル側は精鋭とはいえ三千人、対するペリシテは戦車三万、騎兵六千、兵士は海辺の砂のような大軍で攻め込んできました。

 戦いを始めるにはまず主に犠牲の供え物を捧げねばならないのですが、サムエルの到着が遅れたので、サウルは兵士たちを引き留めるために、焼き尽くす献げ物を捧げてしまったのでした。遅れて到着したサムエルはサウルを厳しく戒めました。このゴタゴタによって、イスラエルの兵はおよそ六百人になってしまいました。しかも武器も食糧も無い状態でした。
 しかし、ヨナタンは従卒一名とたった二人でペリシテに立ち向かい、大混乱を起こさせ、勝利をおさめることができました。その際、兵士たちは戦利品に飛びかかってしまいました。

 次にアマレクとの戦いが始まりました。主は「聖絶」を命じられましたが、二十一万人のイスラエル兵が戦利品を求めたので、サウル王は羊と牛の最上のもの、肥えた動物、子羊、その他何でも上等なものは惜しんで滅ぼし尽くしませんでした。
 そのことをサムエルが戒めるとサウルは、「主の供え物にしようと戦利品の中から取り分けたのです」と答えましたが、背信を認め、罪の赦しを願いました。しかし、それは誠の悔い改めではなく、王としての体面、王という地位を保つための謝罪でした。

 結果、サウルは王位を失い、ダビデに油が注がれることになりました。旧約における神様の裁きは厳然と断行されます。誰も主の御前に完全であることはできません。しかし、新約において神様は御子の命を犠牲として赦しを与えることにされました。この恵みを決して忘れることなく、礼拝を捧げ、私たちはこの地にこの祝福を宣べ伝えて参りましょう。ハレルヤ!

中島 聡牧師