みことばの糧1282

『現世における降誕』

ルカによる福音書2:1-7
 ルカは、クリスマスを皇帝アウグストゥスの治世下(BC27~AD14)、「全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た」時、また、「キリニウスがシリア州の総督(軍司令官としてBC10~7、総督としてAD6~9)であったとき」と記します。
全領土とは、地中海一帯、ヨーロッパ大陸、アフリカ大陸北沿岸に及ぶ広範囲であり、主に課税、徴兵のための住民登録は、BC28、BC8、AD14、三度実施されており、当時のローマ帝国の威力、威光の大きさは明らかです。
イスラエルもローマの属国となっており、ヨセフとマリアも勅令に従って、「ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行」かねばなりませんでした。
その距離約120km、どんなに早くても3~5日かかり、臨月になっていたマリアにとっては大変な旅程であったと思われます。ルカ3章の過越祭への旅程と同様、親類一族も一緒でありましたが、遅れをとってしまい、大勢の人でごった返すベツレヘムには既に宿屋は無く、月が満ちて産まれた赤子は「飼い葉桶に寝かせ」られました。
この記述からイエス様は馬小屋でお生まれになったと言い伝えられているのですが、なんとももの悲しい、詮無いお話です。
御使いガブリエルは「おめでとう、恵まれた方」、「父ダビデの王座をくださる」、「永遠にヤコブの家を治め」ると告げたのでしたが、「どこがやねん!」であったのです。
しかも、この後、ヘロデ王の魔の手が迫りエジプトに逃亡しなければならなかったのです。
クリスマスの始まりは暗闇でしたが、その暗闇を打ち破り、イエス様は「まことの光で、世に来てすべての人を照らす」ためにお生まれになりました。そして、この恵みを過去のものではなく、今に伝えるために私たちもまた「神によって生まれた」、「神の子」であるとヨハネ福音書は明示しています(1:12-13)。クリスマス以来、使徒たち、宣教師たち、そして、現世においても世の光として「神の子」は降誕しているのです。艱難、試練、多々ありますが、おとめマリアのごとく、救い主を信じ、私たちも神の子として福音を伝えて参りましょう。ハレルヤ!

中島 聡牧師