『逆境における信仰の力』
マタイによる福音書14章22~33節
5千人の人々にパンを与えられてから、主イエスは強いて弟子たちを船に乗り込ませ、向こう岸へ行かせようとしました。その間に主イエスはお一人で群衆を解散させ、祈るために山に行かれました。弟子たちは船を出しましたが、逆風が吹いてどうにも進むことが出来ないでいました。これは夜が明ける頃で、午前3時か4時頃であったといいます。
ガリラヤ湖は周囲が丘で囲まれた盆地で、水面は海抜マイナス200メートルほどの低いところにあります。なので丘から吹いてくる風が強く、しかもそれが突然起こることがあるそうです。弟子たちもそのような風に出くわし、漕ぎ悩んでいました。かつても同じような事を弟子たちは経験しています。(嵐を静める:マタイ8:23-27、マルコ4:35-41)その時は主イエスが一緒に船に乗っていましたが、今度はおられません。
その様子をご覧になった主イエスは、湖の上を歩いて彼らの船に近づかれました。しかし弟子たちはそのような姿を見て幽霊だと勘違いし、恐れて大声で叫びました。しかし主イエスは彼らに声をかけ「安心しなさい。私だ。恐れることはない」(マタイ14:27)と語りかけられました。そして彼らの船に乗り込まれると、風が静まったので、弟子たちは非常に驚いたのです。
主イエスは弟子たちに、「安心しなさい。私だ。恐れることはない」と語られました。これは主イエスの存在の証明、共にいることを明らかにした、慰め、励ましに満ちた言葉です。ですが、弟子たちはパンの奇跡があったのにもかかわらず心が鈍くなっていましたので、理解することが出来ないでいました。
私たちも、自分の経験や常識以上の出来事に遭遇するとおびえてしまい、自分を見失い、あわてふためきます。とても弱い存在ですが、そこに主イエスは働きかけてくださいます。弟子たちの船に主イエスが乗り込むと風がやんだように、私たちの心に主イエスが入られるとき、恐れや不安は取り除かれ、主イエスにある全き平安が与えられるのです。
主イエスは今も生きておられ、私たちと共にあり、私たちを支え、私たちの内にいて下さいます。主にある平安の内に歩みを進めましょう。ハレルヤ!
片平 貴宣 牧師